消えた赤線放浪記 3

失われつつある旧赤線地帯や線後(売防法以後)の風俗街、花街について研究します

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

近松秋江「島原」(『夜の京阪』大正9年 所収)[11]

近松秋江自身の体験に基づいた批判は更に続きます 「しかし座敷や小道具はまあそれで可いとして最も肝腎なのは太夫そのものである。その晩はもう好いところは大抵約束になつてゐたといふ斷りがあつたくらゐであるから殊に好くなかつたのであるが、一體がもう…

近松秋江「島原」(『夜の京阪』大正9年 所収)[10]

「私達は鬮で定つた太夫の部屋々々へ藝者や小婢に案内せられて入つていつた。」 鬮は籤と同義です 3人の遊客が「かしの式」に登場した3人の太夫の中から、くじ引きで自分の合方の太夫を決め、それぞれ自分の合方の太夫が来る部屋に入っていくという形です 各…

近松秋江「島原」(『夜の京阪』大正9年 所収)[9]

さらに近松秋江の文章は続きます 「それから以來五六年再び島原へ行つてみる機會がなくて過ぎた。」 「今年の初夏の頃であつた。東京から來たある二人の知人がまだ島原を知らぬ、殊に其處の角屋といふ古い揚屋は一度見て置くものだといふことだが、行つてみ…